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ワセリンは病院から処方される医薬品もあれば、市販で購入できる化粧品としても定番です。
このワセリンは、石油から抽出された油脂を利用して作られています。
白色から淡い黄色の油分の多い軟膏で、無味無臭の非常にシンプルな保湿剤です。
石油が原料というと肌に悪そうな印象があるかもしれませんが、ワセリンを作るときには肌に刺激の強いミネラル分はほとんど除去されています。
ワセリンには「白色ワセリン」や「ヴァセリン(Vaseline)」などの種類があります。
具体的には次のような種類があります。
ヴァセリンは青い蓋で海外のコスメのようなパッケージをした見た目で(後ほどご紹介します)、ドラッグストアで良く見かける商品です。
中身もヴァセリンの方が少し黄色味がかかっています。
精製度は白色ワセリンやプロペト、サンホワイトの方が高いので、これらの方が敏感肌の方が使う際や、顔などに使用する際には適しています。
保湿剤は種類によって効き方が異なるため、肌の乾燥状態で使い分けることが大切です。
効果的な保湿を行うためにも、肌の保湿についてメカニズムから理解しておきましょう。
肌表面には天然保湿因子(NMF)という物質があり、肌の乾燥を防いでいます。
肌内部はヒアルロン酸やアミノ酸が存在することで、水分を保持しています。
肌の表面に「皮脂」が浮き上がるのを感じる方がいるかもしれませんが、これは内側の乾燥を防ぐための防衛作用とも言えます。
ワセリンは表面にあるべき天然保湿因子の代わりとなって肌を守ってくれます。
つまり、ワセリンを塗ると油の膜が張ったような状態になり、内部からの水分蒸発を防いでくれるのです。
しかし、インナードライと言われる内部の乾燥が強い場合には、ワセリンだけでは保湿が十分にできません。
この場合には、肌内部に浸透する作用のあるビタミンEやヒアルロン酸を配合したクリームを合わせて使うと効果的です。
ワセリンは顔、体の両方に使うことができる優秀な保湿剤です。
手に塗っているだけ、顔に塗っているだけという方は、もっと色々と使いこなしてみませんか?
ここではワセリンの便利な使い方を次にご紹介します。
化粧水や乳液をつけるだけでは、油分が足りないため乾燥してしまいがちです。
高級な美容クリームをつけても乾燥が気になるという方もいるでしょう。
このような顔の乾燥を防ぐのにワセリンは有効です。
ワセリンを最後に塗ることで、内側に浸透した保湿剤の蒸発を防ぎ保湿効果を長持ちさせてくれます。
膝がガサガサしたり、手足のガサガサ、さらには踵(かかと)のカチコチにもワセリンは使えます。
乾燥してしまうと、肌が敏感になり刺激を感じやすいものですが、ワセリンにはしみるような成分が入っていないので安心して使えます。
また、日焼けの後に肌が乾燥してヒリヒリするような時にもワセリンが役立ちます。
化粧水や清涼感のあるローションは、敏感な状態の日焼けした肌には刺激が強すぎることもありますが、ワセリンであれば刺激が非常に少ないので安心して使えます。
唇は顔の中でも皮膚が薄くて刺激に弱い部分です。
それでいて普段から口紅をつけたり、食事のときの食べかすがついたりなど、刺激を常に受けやすい場所でもあります。
市販のリップクリームで良いのでは?と思うかもしれませんが、リップクリームの中には保存料や香料の刺激になる原材料が使われていることも少なくありません。
特に乾燥が強いときや皮むけがあるような唇には、ワセリンのような低刺激の軟膏を使った方がトラブルが少ないでしょう。
髪の毛がパサついたり、切れやすくなったりするのは、髪の毛が乾燥していることが原因の一つです。
髪の毛の外側にあるキューティクルの層が乾燥して開いてくると、内部の水分が蒸発して切れ毛や枝毛、さらにカラーリング剤の抜けなどに繋がります。
ワセリンを髪の毛につけると、外側をコーティングして水分の蒸発によるダメージを防いでくれます。
また、頭皮につければ、頭皮の乾燥によるかゆみやフケの予防にも役立ちます。
ワセリンは大人だけではなく、赤ちゃんにも使えます。
病院でも赤ちゃんの肌の乾燥に対してプロペトや白色ワセリンが処方されることは多いです。
赤ちゃんの肌は非常に薄くて、大人用の保湿剤では強すぎることがあります。
また、首のくびれの部分やお尻などの摩擦によるかぶれを防ぐために、保護の目的で使うのにも適しています。
ただし、赤ちゃんの場合はなるべく精製度の高いワセリンを選ぶようにしましょう。
精製度の低いワセリンは刺激が強く、肌トラブルの原因となることがあるため気を付けてください。
安全と思われるワセリンですが、使う場所や肌の状態、使い方によっては副作用が起きることもあります。
使ってから後悔しないように、あらかじめ副作用についても知っておきましょう。
皮膚に合わない場合には、「接触性皮膚炎」といってカブレの症状を起こすことがあります。
もし肌につけてみて、逆にかゆくなったり、ヒリヒリしたり、赤くなるなどの症状が出た時には、直ちに使用を中止することをおすすめします。
また、ワセリンを塗ると皮膚表面に厚い油膜ができたような状態となり、内部に熱がこもりやすくなります。
その影響で、アトピーが悪化したり、皮膚の状態が悪化することもあります。
ワセリンには薬効成分は含まれず、炎症を抑える作用はありません。
かゆみが強い場所や炎症が起きている場所には、単独で使っても効果はあまり期待できないので注意してください。
市販されているワセリンには色々な種類があります。
精製度の高さの違いや価格、または使う人の年齢などによって使い分けると安全に使うことができます。
そこで、具体的におすすめの商品をご紹介します。
酸処理による精製方法を用いず、純度を高めているので肌に優しいワセリンです。
製薬会社である大洋製薬株式会社が製造販売しており、敏感肌の方でも使えます。
ボトル入りタイプとチューブ入りタイプがあり、価格も安いので気楽に使える商品です。
価格:880円
内容量:100g
ワセリンを選ぶポイントの一つとして、不純物や添加物の少なさがありますが、特に赤ちゃんや子供に使う時には配慮したいものです。
このベビーワセリンは無香料・無着色・パラベンフリーであり、従来の白色ワセリンと比べても純度が高いので低刺激です。
そのため、肌が大人よりも薄くて弱い赤ちゃんであっても安心して使いやすい商品です。
Amazonでは50gチューブが368円で販売されています。
品質が高いのに低価格でコスパがいいところも魅力ですね。
もちろん、大人が保湿剤として使っても問題はありません。
チューブタイプなので、どこにでも持ち歩きやすいことも人気の理由です。
価格: 458円(税込)
内容量: 60g
定番のヴァセリン オリジナルピュアスキンジェリーは、純度100%のワセリンでできています。
無香料・無着色・防腐剤無添加です。
原産国がアメリカなだけあって、ポップでおしゃれなパッケージが人気の理由です。
また、ジャータイプで指で適量を調節して取りやすいため、色々な部位にさっと付けられる手軽さが特徴でもあります。
40g、80g、200gと3サイズ展開しているので、用途に合わせて使い分けられるのも嬉しいですね。
価格:312円、521円、731円(各税込)
内容量:40g、80g、200g
市販されているワセリンの中で最も純度が高いのが、サンホワイトです。
1本50gで1,200円(税込)ということで、価格は割高になりますが、その分純度が高いワセリンを使っています。
無香料・無着色・保存料不使用で、さらにアレルギーテスト済みです。
サンホワイトは、医薬品軟膏の基剤(ベース)やアレルギー判定に使われるパッチテストの基材としても使われるなど、医療関係者にも定評のある高品質なワセリンです。
一般的なワセリンと比べると、テクスチャーが柔らかめなので伸ばしやすく、顔にも使いやすいと定評があります。
価格:1,200円(税込)
内容量:50g
※サンホワイトの関連記事: 【薬剤師が解説】「サンホワイト」の特徴や期待できる効果、おすすめの使い方を紹介
ワセリンはとてもシンプルで、ベーシックな保湿剤です。
1つ持っておくと、家族全員で全身どこにでも使えるため重宝します。
ワセリンには紹介したように純度や使い勝手の異なる商品がいくつかあるので、自分の目的や肌に合ったものを選んで使っていきましょう。
執筆・監修:薬剤師 笹尾 真波(ささお まなみ)
大学院卒業後、某内資系製薬企業にて市販薬の企画開発・マーケティングなどに携わる。
その後、都内大型門前病院前のドラッグ併設調剤薬局にて、調剤業務および市販薬のバイヤー・在庫管理・販売にも携わる。
その他、サプリメント・ハーブやオーガニックコスメ販売にも従事する。
また、外資系製薬企業にてDI業務、学術情報部門にて糖尿病や免疫関連の学術情報の検索および情報提供にあたる。
現在は非常勤薬剤師として調剤薬局で勤務する傍ら、正しい薬の使い方や医療情報、美容関係の情報提供に務める。
最終更新日 : 2022/09/01
公開日 : 2018/12/21