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オリーブはキンモクセイやジャスミンと同じ、モクセイ科の常緑高木です。
オリーブの実はとても苦いため、生では食用にできません。
しかし、実をつぶすだけで、簡単に油を取ることができます。
そんなオリーブは原産地の地中海地方では、古くから生活に欠かせない植物として親しまれてきました。
古代ギリシアの時代から 「黄金の液体をもたらす実」 とも呼ばれてきたオリーブには、どんな特徴があるのでしょうか。
人類が最も古くから利用した植物の1つであるオリーブ。
オリーブ最大の魅力は、その用途の多さです。
まずオリーブの実からは良質の油、オリーブオイルを取ることができます。
オリーブオイルは食用や医療用、明かり用などの用途で用いられてきました。
オリーブの実は油を取るだけではなく、加工すれば実そのものも食べられます。
そして葉はお茶にする他、ポリフェノールなどの成分を抽出して健康食品や化粧品にも使われています。
また、1年中青々とした葉をつけることから、観賞用や生垣にも向いています。
オリーブは食べても塗っても、飾っても使える、非常に用途が多い便利な植物であることがわかりますね。
オリーブは 「自家不和合性」 という性質が強く、1つの品種を育ててもほとんど実が取れません。
そのため、オリーブの実を楽しみたい時は2つ以上の品種を育てる必要があります。
※自家不和合性:植物の成熟した花粉が同じ個体のめしべについても正常に受粉しないことを示します。
オリーブの自家不和合性は、品種によって強さが異なります。
この後ご紹介するルッカやシプレッシーノといった品種は、自家結実性があります。
オリーブは雌雄同株のため、自家結実性がある品種は1本育てるだけでも実を取ることができますよ。
ただ、自家結実性がある品種でも、他の品種と一緒に育てるとより実がつきやすくなります。
オリーブには 「隔年結果」 という性質があります。
隔年結果とは実が良くつく「なり年(表年)」とあまりつかない「不なり年(裏年)」を1年ごとに繰り返す習性のことです。
そのため、実つきが1年ごとに変わりますが、これはオリーブの習性であり、異常ではありません。
オリーブの花言葉は 「平和」 と 「知恵」 。
1つ目の「平和」という花言葉は、旧約聖書に登場するノアの箱舟が由来となっているとされています。
ノアの箱舟は、神が最初の人類が堕落したことを怒ったというエピソードからはじまります。
神は洪水を起こして人々を滅ぼそうとしますが、正直者のノアには大きな箱舟を作るように命じました。
箱舟が完成し、ノアや家族が乗り込んだ後に本当に大洪水が起きてしまいます。
その後ノアは水が引いたか確認しようと箱舟からハトを飛ばしたところ、オリーブの枝を咥えて帰ってきました。
それを見たノアは水が引き、陸が見えたことを知ったのだそうです。
そんなエピソードから、オリーブは平和の象徴となりました。
オリーブの葉は、国連のロゴにもデザインされています。
2つ目の花言葉である「知恵」の由来は、古代ギリシアのエピソードにあると言われています。
ある時、古代ギリシアの女神アテナと海神のポセイドンが、アテネの支配圏を巡って対立しました。
この時2人は大神ゼウスが作った「人々の役に立つものを贈った方に土地を与える」というルールのもとで争いました。
そして、ポセイドンは人々に馬(一説には塩水の泉)を、一方のアテナはオリーブの木を贈りました。
馬は美しく、戦にも役立ちますが、人々は食用にも医薬品にもなり、灯りにもなるオリーブを贈ったアテナを支配者に選んだそうです。
今でもアテナの町には、たくさんのオリーブの木が植えられています。
学名:Olea europaea
和名:オリーブ、橄欖(かんらん)
英名:Olive
原産:地中海地方
開花時期:5月上旬〜中旬
オリーブには数多くの品種が存在します
ここでは特に人気が高い品種や、特徴のある品種を紹介します。
なお、用途の 「オイル」 はオリーブオイル作りに向くということを、 「テーブルオリーブ」 は実そのものが食用に向くことを表しています。
用途:オイル、観葉用
自家結実性:あり
成長が早くて寒さや病気に強い、オリーブ初心者にぴったりの品種です。
他のオリーブよりも丸みがあるかわいらしい実は、テーブルオリーブよりもオイルに向きます。
寒さや病気に強いため、日本でも数多く栽培されています。
用途:オイル、庭木
自家結実性:あり
観賞用に作られた、イタリア生まれの品種です。
すらっとした樹の形が特徴的で、イタリアでは暴風柵としても使われてきました。
病気に強いため、初心者に向きます。
用途:オイル、テーブルオリーブ、庭木
自家結実性:なし
寒さに強く、様々な環境に適応できる柔軟性がある品種です。
実つきがよく香りが良いオイルが取れること、育てやすいことから世界各地で栽培されています。
自家結実性がないため、他の品種を近くに植えてください。
用途:オイル、テーブルオリーブ、庭木
自家結実性:あり
世界でもっとも多く栽培されている、スペイン産のオリーブです。
オリーブ栽培の女王とも呼ばれるピクアルは、オリーブオイルの生産に欠かせません。
病気に強く、あらゆる環境に適応できることから、鑑賞用として育てるのも良いでしょう。
用途:テーブルオリーブ
自家結実性:なし
ジャンボという名前通り、直径3cm以上にもなる大きな実をつける品種です。
実に肉を詰めてフライにする、詰め物をして食べるなど他のオリーブとは違う楽しみ方ができます。
ただし、寒さや病気に弱いため、上級者向きと言われています。
ここからは実際にオリーブを育てるうえで、どのようなアイテムが必要なのかをご紹介します。
オリーブを植える前にこれらのアイテムを用意しておくと、焦らずに済みますよ。
まずは一番大切なアイテム、オリーブの苗を入手しましょう。
オリーブの苗は園芸店の他、通販でも購入できます。
できれば実際に自分の目で見て購入した方が良いでしょう。
オリーブは弱アルカリ性の土壌を好む性質があります。
そのため、植え付けや植え替えをする時は、pHを7.0〜7.2に調整する必要があります。
鉢植えの場合は、オリーブ用に調整された土を使用すると良いでしょう。
オリーブ用の土が手に入らない場合は、赤玉土と川砂をメインに牡蠣殻石灰、苦土石灰を少々混ぜたものを使いましょう。
地植えの場合も植え付けをするまでに苦土石灰を撒き、土壌のpHを調整してください。
オリーブは本来、やせた土地でも十分に育つ植物です。
栄養がありすぎる土では急に育ちすぎて、木の形が悪くなることがあるため注意してください。
ただし、適切に肥料を与えることで、成長や実つきを促進できます。
木に元気がない時にも使えるため、オリーブを育てる時は必ず肥料を用意しておきましょう。
オリーブには化学肥料ではなく、緩効性の有機質肥料がおすすめです。
オリーブは成長が早く、あっという間に枝や葉が茂ります。
いざという時に困らないように、剪定ばさみやノコギリは事前に用意しておきましょう。
あまり力を入れなくても使えるタイプがおすすめです。
オリーブを育てる時には、どのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか。
ここでは、実際にオリーブを育てる前に、知っておきたいことを説明していきます。
オリーブの苗は枝が太くてしっかりとしているもの、葉の色が濃くてつやがあるもの、根がよく張っているもの、そして病気や害虫の被害にあった痕跡がないものを選ぶと良いでしょう。
若いオリーブの木は実をつけないため、できれば 3年目以降の苗 を選ぶことをおすすめします。
大きく仕立てない場合、実を重視しない場合は1年目や2年目の苗でも構いません。
オリーブの植え付け、植え替えに適した時期は 3月中旬~5月中旬 です。
苗を入手したらなるべく早めに植え替えをしましょう。
植物は花を咲かせたり実をつけたりすると、体力を消耗してしまいます。
オリーブにしっかりと実をつけてもらうため、定期的に肥料を与えましょう。
肥料は 年に3回(1月・4月・10月頃) 与えると良いでしょう。
与える量は鉢やオリーブの大きさによって、調整してください。
オリーブの実を楽しみたい場合は、花を咲かせて受粉させる必要があります。
花は5月中旬から6月上旬頃、1週間ほどしか咲かないため見逃さないように注意してください。
開花している間に水に濡れると花粉が流れてしまうため、雨に当てないように気を付けましょう。
受粉させるときは、2つ以上の品種のオリーブをなるべく近くに置くと良いです。
上手くいくか不安な時は、耳かきなどのふわふわしたものを使って人工授粉させることもできます。
オリーブを育てていくうえで、剪定作業は欠かせません。
枝や葉が茂りすぎて風通しが悪くなると、害虫や病気が発生する原因となります。
また剪定を行い、オリーブに刺激を与えると成長や結実をうながす効果も期待できますよ。
全体的に「もっさりしてきたな」と感じたら、様子を見て剪定を行いましょう。
9月頃になると、オリーブの実を収穫できるようになります。
テーブルオリーブにする場合は9~10月のグリーンオリーブを、オイルにする場合は11~12月のブラックオリーブを収穫してください。
地面に落ちてしまった実は品質が劣るため、1つ1つ丁寧に収穫しましょう。
日本の気候でも意外としっかり育ち、 1 年中青々とした葉で楽しませてくれるオリーブ。
上手に育てればほんの少しですが、 自家製オリーブオイルが作れる かもしれません。
興味がある方は、一度オリーブの木を育ててみてはいかがでしょうか。
公開日 : 2019/09/05