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最近ニュースや雑誌で目にすることのある「オートミール」ですが、そもそもオートミールとは一体どのような食品なのかご存知でしょうか。
オートミールとは、「オーツ麦」や「えん麦」と呼ばれる麦の一種を脱穀したものを指します。
外皮を残したままもみ殻部分を取り除くので、玄米のような状態と考えるとわかりやすいと思います。
また、オーツ麦を脱穀したあとに小さくカットしたり平たく押しつぶしたりして、調理しやすい状態にしたものもオートミールと呼ばれています。
オーツ麦はお米と同様イネ科の植物で、涼しい気候の土地で生育します。
原産地は中央アジアで、中央ヨーロッパに伝わり、古代ギリシャや古代ローマでは家畜の飼料として栽培が行われました。
その後、イギリスやアイルランドに伝わってからは、オーツ麦は人々の間で栄養価が高い食料として重宝されてきました。
オートミールは、主に朝ごはんとしてアメリカ合衆国をはじめとした欧米の国々で頻繁に食べられています。
日本では朝ごはんに白米を食べる人が多いかもしれませんが、欧米諸国ではオートミールが食卓に並ぶことが多いです。
海外旅行の際に宿泊したホテルの朝食でオートミールを見たり食べたりした記憶があるなんていう方もいらっしゃるかと思います。
そんな海外での朝ごはんの定番メニューであるオートミールですが、外国の朝ごはんの代名詞とも言える「シリアル」とは何がどのように異なるのでしょうか。
実は、シリアルとはコーンフレークやオートミール、グラノーラなどをまとめた総称なのです。
つまり、オートミールはコーンフレークなどと同様にシリアルの一種ということになります。
それでは、オートミールとその他のシリアルとの違いはあるのでしょうか。
原材料や製造方法などの違いはありますが、大きな違いを1つご紹介すると、実は日本のスーパーマーケットでよく販売されているコーンフレークやグラノーラといったシリアルとは異なり、オートミールは熱いお湯をかけておかゆのように柔らかくして食べるのが一般的なのです。
「お湯をかけて食べるシリアル」ってちょっと想像しづらいですよね・・・。
そんな少し変わったオートミールの作り方や食べ方についての詳細は、記事の後半でご紹介します。
欧米の朝ごはんの代表格であるオートミールですが、一言で「オートミール」といっても、実際はいくつかの種類に細かく分類がされています。
また、種類によって調理する時間や食べ応えなどが変わってきます。
オートミールにどのような種類のものがあるのか気になる方のために、以下で一般的な4種類のオートミールをご紹介します。
オーツ麦を脱穀して外皮を除去したものを「ホール・グローツ」と呼びます。
「ホール」は英語で「whole」と書き、「全体の、全ての」という意味の単語です。
単語の意味通り、オーツ麦そのままの形で丸ごと販売されているので、見た目はいくらか玄米に似ています。
オーツ麦を丸ごとを調理するので、当然調理時間は長めになってきます。
良い噛み応えがあり、自然と噛む回数が増加するので、少量で満腹感を得られやすいです。
ホール・グローツの粒を2つから4つ程度に細かく切ったものは「スティールカット・オーツ」と呼ばれています。
「アイリッシュ・オーツ」や「スコティッシュ・オーツ」という名称で呼ばれることもあります。
調理時間はホールグローツよりは短いものの、以下の方法で加工されたオートミールと比較すると長くなっており、調理した後もプチプチ、モチモチとした食感が楽しめるようになっています。
スティールカット・オーツのようにホール・グローツを細かくカットする代わりに、蒸して柔らかくしてから、プレス機を使用して平らにつぶして作られるのが「ロールドオーツ」です。
「オールドファッションド・オーツ」や「ホール・オーツ」とも呼ばれています。
ロールド・オーツは、スティールカット・オーツよりもより多くの水分を吸い込み、より速く調理を行うことができます。
お湯を注いでおかゆのようにして食べるだけではなく、マフィンやクッキーなどの焼き菓子に混ぜ込んだり、フルーツと一緒にスムージーに混ぜたりするのも、ロールド・オーツの人気の使用方法となっています。
オートミールの種類の中でもっとも加工処理が行われているのが「インスタント・オーツ」です。
この種類のオートミールは事前に調理が済まされており、調理後に乾燥およびプレスがされているので、食べる前に必要な調理時間は数十秒程度と非常に短くなっています。
忙しい朝にぴったりの朝ごはんと言えるでしょう。
なお、食感はとても柔らかく、モチモチとした食べ応えです。
インスタント・オーツ以外に「クイック・オーツ」という名称で呼ばれることもあります。
欧米諸国で定番の朝ごはんとして食べられているオートミールですが、日本でも最近になって10代から20代を中心に、オートミールが人気の食品として話題になりつつあります。
その理由に、オートミールの「栄養価」や「ダイエット効果」が挙げられます。
まずオートミールの栄養価についてですが、冒頭でご説明した通り、オートミールは玄米のように外皮を残したまま処理が行われています。
そのため、ビタミンB群をはじめ、カルシウム、鉄分、亜鉛、タンパク質、食物繊維など、様々な栄養素が豊富に含まれているのです。
さらに、鉄分や食物繊維にいたっては、同量の玄米に比べて2倍から3倍程度が含まれていると言われています。
次にオートミールのダイエット効果についてですが、オートミールは「低GI食品」と呼ばれる食品の1つで、血糖値の上昇が比較的ゆるやかに行われます。
食べ物を摂取した人間の体内では血糖値が上昇しますが、上昇した血糖値を下げるためにインシュリンというホルモンが分泌されます。
インシュリンには脂肪の合成を促進したり分解を抑制したりする働きがあるため、インシュリンの過剰な分泌は肥満体質に繋がりやすくなってしまうのです。
低IG食品の1つであるオートミールは、食後の血糖値の上昇をゆるやかにすることによって、肥満に繋がる可能性のあるインシュリンの分泌を安定させる効果があると考えられています。
さらに、オートミールは少量でも腹持ちが良いため、朝に少量食べるだけで満腹感が数時間続き、間食が抑えられやすくなっているのも特徴です。
ダイエット中に小腹が空きやすいという方に嬉しい食品だと思います。
ただし、オートミールのカロリーは100グラムあたりおよそ380キロカロリーとなっているので、より多く食べればその分カロリー摂取も増えていきます。
「低カロリーなので毎食のように食べていれば痩せていく」というような食品ではないということに注意してください。
以下では、オートミールを美味しく食べるための簡単で栄養たっぷりのレシピをご紹介していきます。
まず最初にご紹介するレシピは、いくつもあるオートミールレシピの中でも基本中の基本である「オートミールのポリッジ(おかゆ)風」です。
朝ごはんとして食べられることが非常に多いレシピなので、オートミールに初めてトライする方はぜひ作ってみください。
以下で作り方を説明していきますが、こちらのレシピは上記のオートミールの4種類の中の「ロールド・オーツ」を使用しています。
電子レンジを使用しても鍋を使用しても作ることができるので、気分や時間に合わせてお好みの方法で作ってみてくださいね。
まずは電子レンジを使用した方法からご紹介します。
はじめに、電子レンジ対応の容器にオートミール2分の1カップと水1カップを入れて混ぜましょう。
次に、容器を電子レンジに入れ、オートミールが柔らかくなるまで2分から2分30秒ほど加熱してください。
食べる直前に軽くかき混ぜたら完成です。
また、電子レンジの代わりに鍋を使用した方法では、はじめに1カップの水を鍋に入れ、沸騰するまで加熱します。
水が沸騰したら、2分の1カップのオートミールを鍋に加えて5分ほど中火で調理してください。
鍋の底が焦げ付かないように、時々おたまなどでよく混ぜるのを忘れないようにしましょう。
オートミールが水分を吸って柔らかくなったら出来上がりです。
どちらの方法で調理しても、食べる際にははちみつやメープルシロップをかけて甘みを足したり、お好みの種類のミルクを加えてシリアル感覚で食べたり、ブルーベリーやアーモンドといったフルーツとナッツ類をアクセントとして加えてみることをおすすめします。
ちなみに筆者はというと、はちみつを加えてシナモンをふりかけて食べたり、甘く味付けがされたグラノーラやパンプキンシードなどを入れて食感を楽しみながら食べたりというがお気に入りです。
上記の写真は、シンプルにピーカンナッツ、アーモンドミルク、はちみつを加えていただいた時のものです。
なお、上記レシピでは1人分の分量での作り方をご紹介しましたが、以下で2人分および3人分の分量と調理時間もご紹介しておきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
・2人分
オートミール 1カップ
水 1と3分の4カップ
塩 小さじ8分の1杯(オプショナル)
・3人分
オートミール 1と2分の1カップ
水 2と2分の1カップ
塩 小さじ8分の1杯(オプショナル)
鍋を使用して調理を行う場合は、水を沸騰させる際に事前に塩を入れておくようにしてください。
ここからは応用編として、ちょっと手間を加えたオートミールのアレンジレシピをご紹介していきます。
オートミールを焼いたり細かくブレンドしたりしながら、朝ごはんやおやつにぴったりな料理を作っていきましょう。
砂糖や小麦粉を一切加えることなく作るので、とてもヘルシーなクッキーです。
また、バナナを使用しているため、サクサクというよりはしっとりとした食感を楽しむことができます。
<材料>
・オートミール ... 1カップ
・バナナ ... 2本
(・アーモンドなどのナッツ類、チョコレートチップ、レーズン、ココナッツフレークなどの材料 ... お好みの量)
<作り方>
1. オーブンを180度に予熱しておく。
2. バナナの皮をむき、身をフォークでつぶす。
3. オートミールと潰したバナナをよく混ぜる。(お好みの材料を足したい場合は、このステップで材料を混ぜ合わせておくと良いでしょう。もしくは、次のステップの後にトッピングをする方法でも大丈夫ですよ。)
4. 生地をよく混ぜ終わったら、8等分に分けてベーキングトレイに等間隔に並べてください。
5. 180度のオーブンで12分加熱して完成です。
今回は半分の生地にチョコレートチップを、もう半分にクルミを、それぞれトッピングして焼き上げました。
バナナの香りがふんわりと香る、しっとり美味しいクッキーができました。
次にご紹介するのは、オートミールを入れたヘルシースムージーです。
朝からたくさん食べるのは苦手という方でも、飲むだけで栄養を手軽に摂取できるのでおすすめです。
<材料>
・オートミール ... 1カップ
・バナナ ... 1本
・牛乳、アーモンドミルク、ココナッツミルクなどお好みの種類のミルク ... 1カップ
<作り方>
1. バナナの皮をむき、2〜3等分に分ける。
2. バナナ、ミルク、オートミールをブレンダーに入れて滑らかになるまでよく混ぜます。
バナナに加えて、ブルーベリーやいちご、冷凍の桃などを入れても大変美味しく作ることができます。
今回は、冷凍のいちごとブラックベリーも混ぜました。
3. コップに注いで完成です。
たった3ステップで、朝からさっぱり、とってもヘルシーなスムージーの出来上がりです。
最後にご紹介するレシピは、オーバーナイトオートミールです。
「夜通しの」、「一晩の」という意味の英単語「オーバーナイト」の通り、オーバーナイトオートミールはオートミールを一晩寝かせてから食べる料理です。
ただ、「オーバーナイト」オートミールという名前は付いているものの、一晩待たずとも最低2時間程度置いておけばオートミールがミルクを吸収して美味しく食べることができますので、一晩待たずに食べたいという方にもおすすめのレシピです。
<材料>
・オートミール ... 1カップ
・牛乳、アーモンドミルク、ココナッツミルクなどお好みの種類のミルク ... 1カップ
・チアシード ... 大さじ1杯
・バニラエッセンス ... 小さじ1杯
(・お好みで、ギリシャヨーグルト ... 2分の1カップ)
(・トッピング用にお好みで、アーモンドなどのナッツ類、ココナッツフレーク、ブルーベリーなどのベリー類、バナナなどの材料 ... お好みの量)
※今回はギリシャヨーグルトは使用しませんでしたが、ギリシャヨーグルトを加えることによって食感が滑らかになり、腹持ちもさらに良くなります。
<作り方>
1. オートミール、ミルク、チアシード、バニラエッセンスをボウルに入れてよく混ぜる。(ギリシャヨーグルトを加えたい場合は、このステップで他の材料と一緒によく混ぜておきましょう。)
2. 冷蔵庫で一晩保存する。
3. 翌朝冷蔵庫から取り出し、お好みのトッピングを載せて完成です。
今回は、ブルーベリーを載せていただきました。
基本のオートミールに比べて、さっぱりとした味わいですし、冷たいので夏などの暑い時期におすすめですよ。
以上、オートミールの基本情報や種類の違い、オートミールを使用したレシピなどをご紹介しました。
本記事を機に、ぜひオートミールを試してみてくださいね。
監修:みなと元町内科クリニック院長 笠木 伸平(かさぎ しんぺい)
大学卒業後、内科医師、膠原病リウマチ専門医として病院勤務。
米国国立衛生研究所の特別研究員、神戸大学医学部付属病院検査部 副部長の経験を経て、現在は みなと元町内科クリニック で院長を務める。
「未病」(=健康でもない、病気でもない半健康状態)の患者さんに対して、最新の西洋医学、東洋医学、栄養学、心理学を組み合わせた診断とケア、カウンセリング等を提供。
患者さんと一緒にその方にあった生活習慣の改善方法を考えていくことを大切にしており、最終的に、未病の段階で自分のケアができ、薬に頼らなくても済む人を増やしていくことに取り組んでいる。
公開日 : 2019/01/18