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ここでは、懐紙の歴史や種類について紹介します。
懐紙とは携帯できる和紙のことで、平安時代から始まった伝統文化・伝統工芸のひとつです。
元々紙が貴重だった平安時代では貴族のみが使用していましたが、紙の普及と共に江戸時代では庶民にも広がり、日常的に使われるようになりました。
拭いたりすることの他に、歌を読む際に台紙として使われたり、物を包んだり幅広い用途で使われています。
近年では主にお茶席で使用されますが、柄物やモダン柄の懐紙が製造され、セレクトショップにも並ぶようになったことで、普段使いする人も増えているようです。
ちなみに男女でサイズに差があり、女性は14.5×17.5 cmで、男性は17.5×20.6 cmと少し大きいものを使います。
そのため、女性用の帛紗挟み(ふくさばさみ)に男性用の懐紙を入れようとすると、折れたりしわになってしまうので注意してください。
懐紙の種類は、大きく分けて無地と柄物の2種類です。
また、厳密にいうと懐紙には分類されませんが、硫酸紙という一方の面がツルツルしたクッキングペーパーのような紙を懐紙と合わせて使用することもあります。
公式なお茶席からちょっとしたお出かけまで幅広く使えるのが、白い無地の懐紙です。
白であれば季節やシーンを選ばないので、懐紙を集めるのであれば1束持っておくと良いでしょう。
中には無地でも色の入っている懐紙もありますが、色によってはあまりよく思われないこともあるため注意してください。
また、懐紙の素材は和紙ですが、撥水加工や滲み防止加工されているものもあるので、懐紙を選ぶ際はいつ・どこで・どのようなことに使うのか想定して購入することをおすすめします。
最近では和柄や動物柄、季節柄など柄物の懐紙もよく見かけるようになりました。
公式なお茶席では使用できませんが、友人間のフラットなお茶席で事前に制限がなければ使用できます。
ただし、柄物を使用する際は、季節に合ったものを選びましょう。
柄物は、一歩間違えると幼く見えてしまい、きれいな着物に対しちぐはぐな印象を与えてしまいかねません。
当日の服装の柄や色と合わせることで、ぐっとおしゃれになるので、小物や帛紗挟みとの兼ね合いも考えながら選びましょう。
懐紙を持つのであれば、併せて硫酸紙も用意しておくと良いでしょう。
硫酸紙とは、硫酸溶液と苛性ソーダで処理され、耐水性と耐油性加工をされた紙です。
硫酸紙は水分量や油分の多い菓子が出された時に、懐紙を何枚も汚さないために、懐紙の1番上にのせて使用します。
水分量の多い水まんじゅうは、硫酸紙を使用するのがおすすめ。
水まんじゅうは早くて4月末から販売されますので、5月に入る前に用意しておきましょう。
懐紙というと少し敷居が高いイメージがあるかもしれませんが、質にこだわらないのであれば100円ショップでも購入できます。
ここでは、懐紙が購入できる場所をご紹介します。
懐紙を見るのも使うのも初めてという人は、茶道用品を扱う専門店や呉服店での購入がおすすめです。
専門店や呉服店では、質のいい初心者向けの商品や本格的な和柄からモダン柄まで、数多くの品を取り揃えてあります。
また、専門のスタッフが丁寧に説明してくれるので、安心して選ぶことができるでしょう。
専門店だと値が張るというイメージをお持ちかもしれませんが、高くても1,000円前後でまとまり、普通は400〜600円前後で購入することができます。
とにかくかわいい柄を選びたい人は、セレクトショップを覗いてみましょう。
手ぬぐいなどの和物を取り扱うセレクトショップであれば、取り扱っている可能性があります。
セレクトショップの場合、老舗の商品が並ぶため質の面でも安心です。
もっと手頃に購入したい人は、100円ショップを覗いてみると良いでしょう。
品揃えは店舗によって変わりますが、大手のチェーン店であれば無地や柄物がいくつか販売されています。
紙質は通常のものと比較すると少し心許なく感じますが、気兼ねなく使えるので、試してみたい人におすすめです。
通販サイトでは、老舗の商品から個人で制作したものまで、数多くの懐紙が出品されています。
一気に多くの商品を比較できますし、オンライン限定商品もあるので、柄にこだわりたい人や少し違った懐紙がほしい人におすすめです。
また、ネットでは和風のアニメやマンガ、日本画(鳥獣戯画など)とコラボした懐紙も販売されているため、好きなキャラクターがいる人は「(キャラクター名) 懐紙」で検索してみると、新しい懐紙の世界を垣間見れます。
サイズや実際の色がわかりづらい部分があるので、女性サイズを購入しようとして男性用を買ってしまったなどのトラブルに注意してください。
おすすめの通販サイトは記事下部で取り上げています。
ここでは、基本的なお茶席での懐紙の使い方と方法を紹介します。
流派によって細かい違いがあるため、あくまで基本として覚えておきましょう。
懐紙は帛紗挟みに入れて持ち歩きますが、会場に着いたら取り出して帛紗挟みを上、懐紙を下に重ね懐へ入れます。
この時、完全に着物の中に隠す必要はありません。
厳密に何センチという決まりはありませんが、取り出しやすい長さを出しておきましょう。
懐に入れる懐紙の向きですが、帛紗挟みも懐紙も折り目(わさ)が下になるように入れるのがポイントです。
こうしておくことで、懐紙の端が寄れることなく出す時にとても楽になります。
また、懐紙の表面(お菓子などを載せる柄などが入っている面)をそのまま懐へ入れる人と表面を内側に折って懐に入れる人がいるので、どっちにすればいいか迷わないように注意してください。
向きには細かい決まりがなく、主催者や先生の考えで変わってくるので、失礼にならないように予め確認し、周囲と合わせておけば問題ありません。
お茶席での使い方は、基本的に3つです。
それでは、各手順について確認していきましょう。
お盆に乗ってお菓子がまわってきたら、1度礼をして懐から懐紙を取り出し、自分の正面にわさが手前にくるように置きます。
ちなみに、お菓子は自分に近いものを取り、同じ位置にある場合は右からとるようにしましょう。
自分より遠いものを取ると選んでいるように見えてしまいますし、日本人は右利きの人が多いため、左からとってしまうと次の人の菓子の上を経由する必要があり、汚してしまう可能性があるからです。
些細な気遣いですが、大切なことなので注意してください。
お茶席では、黒文字ではなく手で直接食べるお菓子が出てくることもあります。
そうすると、どうしても手が汚れてしまいますよね。
相手に汚れた面が見えないように、自分に近い部分の懐紙でこっそり拭くようにしましょう。
お菓子を残しても、懐紙で丁寧に包み懐へ入れ持ち帰ればマナー違反にはなりません。
その際に食べれなかったことを報告する必要もありませんので、できるだけ周囲に見せないように持ち帰りましょう。
ただ、お菓子は主催者が来てくれる人のことを一生懸命に考え、楽しんでくれるために用意したものです。
お菓子をその場に残すのは、このような気持ちを蔑ろにしてしまいますのでやめましょう。
使用した後は1番上の懐紙をめくり、汚れが内側にくるように手前に向けて丁寧に折りたたみます。
ここでぐしゃぐしゃに丸めてしまうのは、あまりきれいな所作とは言えないので注意してください。
折りたたんだ懐紙は1度手の中にしまい、先に使っていない懐紙を懐へしまいます。
しまう向きは最初と同じくわさを下に向け、帛紗挟みの下へしまいましょう。
懐紙を懐へしまえたら、汚れた懐紙は袖の中へしまいます。
水や油にある程度耐性があり、かさばらない懐紙は使い慣れてくると大変便利です。
ここでは、日常的な使い方について紹介します。
懐紙は、ちょっとしたおやつや個包装なしでもらったお菓子を載せるお皿として便利です。
手が汚れてもそのまま拭けてしまいますし、ある程度水分があってもティッシュのように紙がくっつくこともありません。
また、アクセサリーを載せるお皿としてもおすすめです。
アクセサリーと懐紙の柄を合わせれば、懐紙特有の柔らかさがアクセサリーを引き立て、違和感なく馴染みます。
懐紙は便箋やメモ帳など、書くための用紙としても便利です。
使う筆記用具や懐紙の加工によってにじみ具合が異なります。
万年筆や筆ペンなどインクの水分が多いと滲みやすくなります。
シャープペンの場合、和紙の遷移に芯が引っかかりやすいので、滑らかに書くには0.5以上の太めのものを使うのがおすすめです。
自分だけの便箋・手帳を懐紙で作ってみてはいかがでしょうか。
懐紙は和紙で出来ていて品がよく高級感があるので、お金や小物を包む包装紙としても最適です。
包み方も以下の手順のように簡単です。
中身が大きくなければ、懐紙がしっかりしているためシール止めなどは必要ありません。
シールで留める場合は、水引や鶴、亀など和ものをモチーフにしたものを使うとバランスが取れ、よりおしゃれな包装紙になります。
アルメニアペーパーとは、紙のお香とも呼ばれているもので、火をつけず紙にしみ込ませた香りを楽しむものです。
懐紙は油分が染み込みやすく、ちょっとした衝撃で破けることはありませんので、アルメニアペーパーとして使用できます。
香水やオイルを1~2回(滴)ほどつけ、その面が外に出ないように四つ折りにして、財布やポーチ、カバンの中に忍ばせれば完成です。
体に直接つけるわけではないので、職場で香水が禁止されている人でもこっそり楽しめます。
ここでは、迷った時におすすめのお店をご紹介します。
柄物から無地まで揃っており、欲しいと思えるような懐紙に出会えるはずです。
京都の岡崎で創業90年を迎える辻徳は、懐紙専門店として京都の文化を支えてきました。
お茶席だけではなく、普段づかいできるようアーティストとのコラボ商品やモダン柄を多数そろえています。
また、懐紙=四角というイメージを覆すような、花びら型や切り絵のようにワンポイントだけ切り抜かれているデザイン、マスクを作る用の懐紙など、柔軟で見ていて楽しい商品が多いのも特徴的です。
「日本の伝統工芸を元気にする!」をビジョンとして、手積み手織りの麻織物を中心に、伝統工芸として懐紙も無地から柄物まで多数扱っています。
中川政七商店の懐紙は淡いパターン柄が優しい和紙の質感と合わさっているのが特徴的です。
また、季節によってどんどん新しいデザインの懐紙が発売されるため、毎月の楽しみが増えるのではないでしょうか。
店舗も多く、実店舗で選びたい人におすすめのお店です。
KAIは、ユネスコの無形文化遺産に登録されている懐紙ブランドです。
日本三大和紙としても有名な美濃和紙文化を受け継ぎ、透かし懐紙の原紙においては9割り以上のシェアを誇ります。
白地に上品な薄い透かし模様が入っているのが特徴で、「やわらかい」「水を吸う」「しっかり」「にじまない」といった4つの紙質から用途に合った懐紙を選ぶことができます。
値段もお手頃で品質に対し求めやすいので、日常使いもおすすめ。
上品な透かし懐紙はシーンを選ばないため、パーティーや特別なお出かけで使用しても問題ありません。
あまり縁のなかった懐紙を身近に感じていただけたでしょうか。
懐紙のもととなる和紙は、無形文化財として世界に認められるほどの技術や歴史が詰まってできたものです。
日本文化を懐に入れて、今よりちょっと丁寧な暮らしを送ってみてはいかがでしょうか。
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最終更新日 : 2022/02/16
公開日 : 2021/09/17