本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
蜜蝋(ミツロウ)は、ミツバチの体から分泌され、巣から採取される天然のワックス成分です。
英語では「Beeswax」と呼ばれ、日本語でもそのまま”ビースワックス”と表記することもあります。
ミツバチの巣を形作っている成分で、巣蜜(コムハニー)を食べた時に口に残る部分です。
蜜蝋は優れた保湿性と抗菌性を持っています。
そして食品添加物や化粧品、医薬品の原料や子供用のクレヨンの素材としても使われているほど安全性が高いとされています。
食品添加物としては、お菓子やサプリメントにツヤと光沢を出すため、化粧品では口紅やリップクリーム、アイシャドーなどに使われています。
医薬品では「サラシミツロウ」という名前で、軟膏の基材などに使われています。
蜜蝋には精製したものと精製していないもの(未精製)があります。
未精製の方は蜜蝋本来の色や香りが濃く、クセが強い代わりに有効成分や栄養素が多く残っています。
精製品の方は蜜蝋から不純物を取り除いて漂白をしたもので、色や香りが薄く使いやすい代わりに、有効成分の面から見ると未精製品の方が優れています。
どちらを使うかは好みで選んで差し支えありません。
白いクリームを作りたい方や精油の香りをしっかりさせたい方は、精製品を使うことをおすすめします。
また、未精製品は肌への刺激が強いことがありますので、肌が荒れやすい方は注意が必要です。
それでは早速、蜜蝋とベースオイルを使ってハンドクリームを作ってみましょう。
ベースオイルはホホバオイル、オリーブオイル、スウィートアーモンドオイルなど様々なものがありますが、植物由来のオイルであればどんなものを使っても構いません。
今回は無印良品のオリーブオイルを使用して、ミツロウハンドクリームを作っていきます。
ハンドクリーム作りのため、以下の物を用意してください。
<材料>
固めが好きな方はベースオイルを13ml、ゆるめが良い方は15mlで作ってください。
今回は蜜蝋2g、オリーブオイル13ml、ベルガモット精油を3滴使用しています。
<道具>
保存用の容器はジャムやデザートなどの空き瓶でも構いません。
瓶を使う場合は事前に煮沸消毒して、しっかりと水気を飛ばしておいてくださいね。
まずは湯せん用の耐熱容器に蜜蝋とベースオイルを入れ、湯せんにかけてミツロウを溶かします。
蜜蝋が溶けたら湯せんから外し、竹串でよく混ぜます。
しっかりと混ざったら、保管用の容器に移し替えてください。
なお、保存用の容器を湯せんに耐えられる容器(遮光瓶など)にすると、クリームを入れ替える手間や容器を洗う手間が省けます。
今回は耐熱の遮光瓶を保管容器にするため、遮光瓶をそのまま湯せんにかけています。
蜜蝋の温度が下がって表面が白色に変わってきたら精油を入れ、空気が入らないようにそっとかき混ぜましょう。
せっかくの香りが飛んでしまうため、湯せん直後の透明な状態で精油を入れないように注意してください。
その後、容器の底を軽くテーブルなどでトントンと叩き、空気を抜いたら完成です。
完成直後はまだ温度が高いため、完全に冷めてから蓋をします。
直射日光が当たらない涼しい場所で保管し、3週間程度で使い切るようにしてください。
ラベルを貼って、作った日をメモしておくと良いでしょう。
蜜蝋はまれにアレルギーを引き起こすことがあるため、作ったクリームは一度に大量に使わず少量ずつ使用するようにしてください。
肌が弱い方は、腕の内側など目立たないところでパッチテストをしてから使うことをおすすめします。
蜜蝋は高温では液体になりますが、常温では個体に戻ります。
液体の蜜蝋を排水口に流すと奥の方で固まり、詰まりの原因となってしまうため絶対に流さないでください。
使った瓶や容器は温めながらキッチンペーパーや新聞で可能な限り拭き取り、仕上げに無水エタノールを染み込ませた布やキッチンペーパーで拭き取ると蜜蝋をきれいに落とすことができます。
また、混ぜる時にガラス棒を使っても良いのですが、使い捨てできる竹串を使うと洗う手間が省けて作業が楽になりますよ。
蜜蝋ハンドクリームは他の材料を入れてアレンジしても楽しむこともできます。
ここでは、簡単アレンジレシピをご紹介します。
どちらも作り方は基本のレシピと変わらず、湯せんする前に全ての材料を入れるだけで作れます。
保湿力が高く、肌に馴染みやすいことで有名なシアバターを入れたハンドクリームです。
よりしっとり感を求める方におすすめです。
<材料>
※合わせて読みたい: シアバターの使い方やおすすめ人気商品を紹介♪
蜜蝋だけではなくハチミツも入れた、ミツバチの恵みをぎゅっと詰め込んだハンドクリームです。
クローバーやアカシア、レンゲなどハチミツの種類にこだわってみても良いですね。
<材料>
蜜蝋ハンドクリームは、水分と油分が豊富なため、肌を柔らかくしてしっかりと潤いを保ってくれる効果があります。
同じレシピでも、ベースオイルを変えるとだいぶ使用感が変わってきます。
軽めの使い心地が良い場合は、ホホバオイルやオリーブスクワラン、しっかりした使い心地が良い場合はオリーブオイルを使ってみてください。
とても優しい使い心地で、ほんのりと精油が香るクリームです。
レシピ通り作るとちょっとゆるめのクリームができるため、フェイスケアにも使うことができます。
蜜蝋ハンドクリームは、使う蜜蝋の量が多いほど固いクリームになります。
夏場に使う場合やさっぱりとした使用感を求める場合は、蜜蝋を増やし、ベースオイルを減らしてください。
冬場やこってりとした使用感を求める場合は蜜蝋の量を変えず、ベースオイルを増やしてみてください。
自分の好きな使用感に調整できるのも、手作りならではの魅力です。
蜜蝋を多めにした固いクリームを作れば、持ち歩くこともできます。
ただし、蜜蝋は温度があがるとゆるくなる性質があるため、持ち歩く場合は中身が漏れ出さないようしっかりと蓋が閉まるものを使ってくださいね。
精油についても、どんなものを使っても構いません。
リラックスしたい時やフェイスケアに使いたい時はラベンダーやローズ、カモミールなどがおすすめです。
明るい気持ちになりたい時はベルガモットやスイートオレンジ、グレープフルーツなどが良いでしょう。
ただし、かんきつ系の精油は光毒性があるため、ケアに使ったあとすぐに太陽光を浴びないように注意してください。
いくつかの精油をブレンドして、オリジナルの香りを作ってみるのも楽しいですよ。
※精油(エッセンシャルオイル)の関連記事: エッセンシャルオイルってなに?正しい選び方や使い方をご紹介
蜜蝋は1回に使う量が2gや3gと少量なので、なかなか使い切れないですよね。
何度もハンドクリームを作っても良いのですが、せっかくなら余った蜜蝋を使って他のコスメも手作りしてみてはいかがでしょうか。
ハンドクリームと同じ作り方で、リップクリームも作ることができます。
自分で作ったというワクワク感と優しい付け心地に、付けるのが楽しみになることでしょう。
<材料>
作り方はハンドクリームと同じです。
作った後はメンタム缶やリップクリーム用のケースに入れて使ってください。
ハンドクリームより蜜蝋が多いため、かなり固めのテクスチャになります。
唇は手より皮膚が薄く刺激を受けやすいため、精油の量は控えめにしてくださいね。
電子レンジで温めて材料を混ぜて型に入れるだけで作れる、蜜蝋の保湿成分たっぷりの手作り石鹸もおすすめです。
石鹸を使うたびに好きな香りにふわりと包まれる…手作り石鹸はそんな至福のひと時を作り出してくれます。
<材料>
<道具>
MPソープは、別名グリセリンソープとも呼ばれる透明な石鹸の素材です。
カセイソーダなどの劇薬を使わず、簡単に石鹸を作ることができます。
耐熱容器に2~3cm角に切ったMPソープを入れて、電子レンジで20~30秒程温めます。
MPソープが溶けたら、好みの精油を入れてガラス棒や竹串でよく混ぜ、型に流し込みます。
この時に食用色素を入れて色を付けたり、ドライハーブを入れてアレンジするのも楽しいです。
ミツロウの色も出るため、黄色が入ることを考えて色を付けると良いでしょう。
その後、風通しの良いところで1~2時間置き、型から外して2~4日ほどしっかり完成させたら完成です。
余分なものが入っていない、安心安全で保湿性が高い石鹸を簡単に作ることができます。
当記事ではミツロウや手作りミツロウハンドクリームの作り方について解説してきました。
手作りは少し手間がかかる一方、「何が入っているかわかる」、「作りたてを使うことができる」、「自分の好みに合わることができる」という市販品にはない魅力があります。
一度やってみると、その奥深さにはまってしまうかもしれません。
監修:医師 成田 亜希子(なりた あきこ)
2011年に医師免許を取得。
日本内科学会、日本公衆衛生学会、日本感染症学会、日本健康教育学会所属。
初期臨床研修修了後は、一般内科医として幅広い分野の疾患の治療に従事している。
行政機関への勤務経験もあり、健康増進や感染症対策、母子保健などの政策に医師という立場で携わっていた。
プライベートでは二児の母。
趣味は乗馬、旅行、料理。
最終更新日 : 2021/11/30
公開日 : 2019/03/10