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「青空文庫」で読書をしよう!おすすめ作品をジャンル別に紹介






インターネット上の電子図書館である青空文庫。
無料で利用できることから、一度は見たことがある方も多いのではないでしょうか。

青空文庫はボランティアによって運営されており、著作権の切れた作品や、著作者によって収録の認められている作品が数多く揃います。
小説はもちろん、専門書や雑誌論文を閲覧することもできます。

今回は、その中でも大部分を占める文学作品の中から、おすすめの作品をジャンル別にご紹介します。
あなたも、青空文庫で気軽に読書を楽しんでみましょう。

本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。


【目次】「青空文庫」で読書をしよう!おすすめ作品をジャンル別に紹介

 

青空文庫での本の探し方

【長編小説】夏目漱石『三四郎』

【長編小説】谷崎潤一郎『春琴抄』

【長編小説】壺井栄『二十四の瞳』

【短編小説】芥川龍之介『蜘蛛の糸』

【短編小説】江戸川乱歩『押絵と旅する男』

【短編小説】太宰治『魚服記』

【歴史小説】吉川英治『三国志』

【歴史小説】山本周五郎『樅ノ木は残った』

【歴史小説】森鴎外『高瀬舟』

【子供向け小説】宮沢賢治『銀河鉄道の夜』

【子供向け小説】マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメ―『フランダースの犬』

【子供向け小説】アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『あのときの王子くん』

【海外小説】フランツ・カフカ『変身』

【海外小説】シェークスピア ウィリアム『ロミオとヂュリエット』

【海外小説】ツルゲーネフ『はつ恋』

【SF小説】海野十三『蠅男』

【SF小説】海野十三『太平洋魔城』

【SF小説】賀川豊彦『空中征服』

【推理小説】江戸川乱歩『怪人二十面相』

【推理小説】芥川龍之介『藪の中』

【推理小説】夢野久作『ドグラ・マグラ』

【詩集】与謝野晶子『晶子詩篇全集』

【詩集】中原中也『山羊の歌』

【詩集】室生犀星『愛の詩集』

 

青空文庫での本の探し方

 

無料で利用できる青空文庫ですが、「どうやって読めるの?」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

おすすめの文学作品を見ていく前に、まずは青空文庫に掲載されている作品を読む方法をご紹介します。

 

青空文庫のサイトから読む

 

青空文庫_おすすめ

 

青空文庫の  公式サイト   には、「総合インデックス」という、作家名や作品名が50音順に並んだ一覧があります。

読みたい作品名やその作者の頭文字を選択して絞り込んでいくと、お目当ての書籍にたどり着きやすくなります。

また、分野別にも検索することができるので、読みたいジャンルが決まっている方にはそちらもおすすめです。

 

読みたい書籍をクリックすると、その書籍のデータが記載された「図書カード」のページにたどり着きます。

一番上に「作品名」と「著者名」が記載されているので、そのすぐ右下の「いますぐXHTML版で読む」というところをクリックすると、そのまま作品を読むことができます。

 

青空文庫のサイトからそのまま閲覧する際には、横書きでの閲覧となります。

縦書きで読みたい方は、縦書きに対応した電子書籍リーダー「えあ草紙」や、「i読書―青空文庫リーダー」(iPhone用)など、様々なアプリが開発されているので、そちらをご活用ください。

 

kindleで読む

 

青空文庫_おすすめ

 

kindleとは、Amazon.comが提供する電子書籍リーダーや、コンテンツ配信サービスです。

PCやタブレット、スマートフォンから電子書籍を読むことができます。

 

kindleでは、青空文庫の書籍が0円で購入することができるものもあるので、0円で購入して端末にダウンロードすれば、作品を読むことができます。

今回ご紹介する作品も、ほとんどの作品にkindle購入ページのリンクを貼ってあるので、そちらから飛んでいただいてもご購入いただけますよ。

 

 

【長編小説】夏目漱石『三四郎』

 

 

漱石の前期3部作のうちの1つです。

主人公の三四郎が大学進学を機に上京し、そこで出会う様々な人や新しい都会の文化に触れながら、成長を遂げていく教養小説になっています。

 

一見、だれもが経験するような青春物語のようにも読めますが、その内容や作品の意図はそれだけにとどまりません。

登場人物の描写からは、その時代を生きた人たちの内面的な苦悩や葛藤を読み取ることができ、漱石の当時の日本社会への懐疑を見ることができます。

また、漱石がイギリスで実際に目にした絵画や文学作品が多様に用いられているのも魅力の1つです。

 

 

 

【長編小説】谷崎潤一郎『春琴抄』

 

 

『春琴抄』は、幼いころに視力を失った三味線奏者の春琴と、その家の丁稚である佐助の物語です。

プライドが高くわがままな春琴を佐助は深く崇拝し、この上ないほど献身的に仕えます。

佐助の尋常ではない忠誠さは、非常にマゾヒスティックに描かれており、谷崎の耽美主義が色濃く書かれた作品になっています。

 

その愛は単なる師弟愛なのか、または恋愛なのか、無償の愛なのか。

気狂いを超えて美しいと感じてしまう「究極の愛」の世界を、あなたも体験してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

【長編小説】壺井栄『二十四の瞳』

 

二十四の瞳

 

映画化やドラマ化も数多くされているこの作品は、「瀬戸内海べりの一寒村」を舞台に描かれた戦争小説です。

若き女教師の大石久子と、赴任していた小学校の生徒12人の交流を軸にしながら、第二次世界大戦下の生活の悲惨さや衝撃が書かれています。

 

苦しい時代の中でも、それぞれの色に美しく輝く瞳を抱いたまま成長した子供たちと、その子供たちを愛で導いた女教師。

その絆をもって、私たち現代人に訴えかけられているものは何でしょうか。

1人1人が持つ瞳の輝きを、私たちはどのようにして守っていくべきなのか、考えさせられる作品です。

 

 

【短編小説】芥川龍之介『蜘蛛の糸』

 

 

芥川龍之介によって「児童文学」として描かれた作品です。

 

生きている間に諸悪の限りを尽くし、地獄に落ちた犍陀多。

釈迦はそんな犍陀多が生前1度だけ善行を行ったことを思い出し、極楽から彼の元に1本の蜘蛛の糸を垂らします。

 

その糸を掴み、上へと登っていく犍陀多でしたが、後に続いて他の亡者たちが登ってくるのを見て「来るな、私の糸だ」とわめきます。

すると、犍陀多のその浅ましい心を見透かしたようにその糸は突然切れ、犍陀多はまた地獄へと落ちてしまうのです。

 

犍陀多の無慈悲な心を描いた、教訓小説として読まれることが多いこちらの小説。

しかし、この物語は深読みすると、今まで気が付かなかった不可解な点が浮かび上がったり、御釈迦様の視点から読んでみると、また違うものが見えてきたりするのです。

単なる児童文学という括りで片づけてしまうのは少しもったいないこの名作を、もう一度別の視点から読み解いてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

【短編小説】江戸川乱歩『押絵と旅する男』

 

 

魚津の蜃気楼を訪れた帰り。

ガランとした汽車には「私」のほかに、40にも60にも見える不気味な男が1人。

 

その男の手には、白髪の老人と美少女が寄り添う様子の描かれた、1枚の押絵がありました。

「私」には、その押絵の二人が、実際に生きているように見えるのです。

それから男は、その押絵の中の老人の身の上話を「私」に語り始めます。

 

押絵の中でまるで生きているかのように佇む2人は何なのか、そしてこの押絵を持った男は何者なのか。

男が繰り出す様々の不可思議な言動は、読者をどこか不安になるような見ず知らずの世界に誘います。

「この話は夢か幻か、それとも現実であったのか」、そんな最初の1文から、私たちはすでにこの奇妙で不思議な世界に迷い込んでいるのです。

 

 

 

【短編小説】太宰治『魚服記』

 

 

「魚服記」は、太宰治の短編集『晩年』の中に収載された作品のうちの1つです。

太宰の出身地である青森の中のある寒村を舞台に、父親と二人で暮らす1人の少女を書いています。

 

貧しい暮らしの中、父親の言いつけに従って暮らしていた少女が、成長し大人になり自我に目覚めたとき、彼女がとった行動とは何だったのでしょうか。

その驚きの結末は、どこか幻想的で美しく現実離れしています。

 

太宰が「遺書」として描いたこの作品集から、彼の死に対する、どこか狂気じみたような幻想を感じてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

【歴史小説】吉川英治『三国志』

 

 

中国の歴史小説『三国志演義』のストーリーを基礎として、日本風にアレンジされた大人気小説です。

構成は「02 桃園の巻」~「11 五丈原の巻」までの10巻と、「01 序」と吉川自身の解説を記した「12 篇外余禄」の2巻を加えた、全12巻になっています。

 

三国時代の魅力的な人物と、次々に繰り広げられる戦火の、華やかな世界に圧倒されること間違いなしのこの作品。

戦前に書かれた歴史小説ということで、難しそう…と躊躇してしまう方もいるかと思いますが、読みやすい文章で書かれているのでご安心ください。

中国の三国時代を舞台にして描かれた物語が、日本人にも馴染みやすいように書き直されているため、その時代の中国をわかりやすく理解することができますよ。

 

 

 

【歴史小説】山本周五郎『樅ノ木は残った』

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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江戸時代前期に起こった「伊達騒動」を題材として書かれた歴史小説です。

 

「伊達騒動」とは、仙台伊達藩で起こった御家騒動のことです。

この事件の悪役とされている原田甲斐が、物語の主人公として描かれています。

 

藩の一大事に、何も動こうとせず身内にも距離を置く甲斐。

1人で耐え抜き、最後まで極悪人として死んでいった甲斐が、そこまでしてやり遂げたことは一体…

 

日本の封建社会における、甲斐の武士としての生き様を、あなたはどのように思うでしょうか。

1970年にはNHK大河ドラマにもなっており、そちらと合わせてご覧いただくと、よりその雰囲気を味わうことができるでしょう。

 

 

【歴史小説】森鴎外『高瀬舟』

 

 

江戸時代の随筆集『翁草』(神沢杜口著)の中にある「流人の話」をもとにして書かれた短編小説です。

 

「高瀬舟」とは、島流しになった罪人を護送するために、京都の高瀬川を下る船です。

この船で護送をする同心の庄兵衛は、ある日罪人の喜助を船に乗せます。

しかし、驚くことに、喜助は罪人であるにも関わらず「いかにも楽しそう」な態度をとっているのです。

そんな彼の罪は、弟を殺したことでした。

 

喜助がしたことは、本当に罪と言えるのか。

あなたもこの物語を読めば、善悪のあり方について改めて考えさせられるはずです。

 

 

 

【子供向け小説】宮沢賢治『銀河鉄道の夜』

 

 

誰もが1度は聞いたことのある『銀河鉄道の夜』。

いじめられっ子の少年ジョヴァンニが、たった1人の友人カムパネルラとともに銀河鉄道に乗って旅をするという物語です。

 

アニメや映画、絵本など様々な形で作品化されているため、その内容にもどこかで触れたことがあるのではないでしょうか。

童話として描かれたこの作品ですが、その解釈は難しく、研究家たちの間でも多様な解釈がされています。

 

そんな宮沢賢治の名作は、私たちに様々なことを考えさせてくれます。

本当の幸せとは何か、死ぬとは、そして生きるとは何か。

賢治の作る幻想的な世界を味わうとともに、その奥深さを是非体験してみてください。

 

 

 

【子供向け小説】マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメ―『フランダースの犬』

 

 

アルデネン地方を舞台に、イギリスの女流作家によって書かれた児童文学です。

貧しい少年ネロと、犬のパトラッシュの絆を描いた悲しい物語として知られるこの名作。

特に、パトラッシュの内面にも言及して描かれているので、2人の互いへの熱い想いが痛いほどによくわかります。

 

過酷で悲劇的な結末ですが、そこにはどこか清らかさが感じられます。

大人になった今、美しく優しい彼らの心を、より深く理解することができるかもしれません。

 

 

 

【子供向け小説】アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『あのときの王子くん』

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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『あのときの王子くん』は、おなじみ『星の王子さま』の原作『Le Pertit Prince』の新訳です。

六つの星を訪れ、様々な大人に出会ってきた王子さまが、地球にやってきて「僕」と出会うお話です。

 

童話として有名ですが、この話は是非大人になったからこそまた読んでいただきたい作品。

哲学書としても紹介されることのあるこの本は、世の中に対する風刺的な要素も含んでおり、私たちの生き方を見つめ直すきっかけを与えてくれます。

作品中に出てくる「バラ」や「キツネ」たちとの関係にも、是非注目して読んでいただきたいです。

 

 

【海外小説】フランツ・カフカ『変身』

 

 

ある日起きてみると、姿が毒虫に変身してしまった男とその家族の話です。

変わり果ててしまったその姿を見て、悲嘆に暮れる家族でしたが、最初のうちは何とか一緒に生活しようと互いを献身的に支えます。

 

しかし、段々と毒虫らしい行動をとるようになっていく彼を見て、次第に距離をとっていく家族。

そしてついには、彼を家から追い出したいものとして見るようになり、いよいよ彼が死んでしまうと、家族は明るい未来を思い描くのです。

 

この結末はハッピーエンドなのか、それともバッドエンドなのか。

彼が変身したことにより変わってしまったものとは、一体何なのか。

この物語はただのSF物語ではなく、むしろ現実を生きる私たちの心に巣食う冷淡さを写し出しています。

 

 

 

【海外小説】シェークスピア ウィリアム『ロミオとヂュリエット』

 

 

かの有名なシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』が、坪内逍遥によって訳されたものです。

お家同士の対立により叶わぬ恋をした男女が、駆け落ちを試みるも失敗に終わり、2人とも命を絶ってしまうという恋愛悲劇を描いています。

激しい恋に落ち永遠の愛を誓い合う2人が、最後は死という最大の不幸を迎えるという劇的な展開は、今でもなお色褪せないロマンスとして残り続けています。

 

ミュージカルやクラシックバレエ、映画などでも鑑賞することのできるこの物語ですが、1度は小説という形で原作を読んでみてはいかがでしょうか。

 

 

 

【海外小説】ツルゲーネフ『はつ恋』

 

 

ツルゲーネフは、ドストエフスキーなどと並んでロシア文学を代表する小説家の1人です。

そんなツルゲーネフが、自らの作品で1番愛したとされるこの『はつ恋』は、その名の通り主人公ヴラジーミルの初恋を描いた作品です。

 

16歳の彼が初めて恋心を抱いた相手は、21歳のジナイーダ。

しかし、男たらしで美貌を持っている彼女は、なんと父ヴラジーミルの親と不倫関係にあったのです。

それを知った彼は、その恋の行方を近くで見ていました。

 

彼の苦悩に満ちた初恋は、彼に恋とはどんなものかを痛いほどわからせたのではないでしょうか。

ロシア文学というと堅いイメージを抱いてしまう方も多いかと思いますが、とても読みやすい作品になっているので、是非この機会に読まれることをおすすめします。

 

 

 

【SF小説】海野十三『蠅男』

 

 

日本のSFの父と言われる海野十三による『蠅男』です。

 

ある日、大阪の大富豪に届いた1通の殺人予告。

脅迫状と一緒に入っていたのは、1匹の蠅のミイラ。

その知らせを受けて警察は動きますが、その対策もむなしく連続殺人は起こります。

 

「問題の「蠅男」と呼ばれる不可思議なる人物は、案外その以前から、われわれとおなじ空気を吸っていたのだ」という1文から始まるこの作品は、重々しく独特の雰囲気を持った奇想天外なミステリーになっています。

昭和前期に書かれたこの作品は、どこかレトロで懐かしい空気感が漂っており、ひとたび読めば、その作品世界にどっぷりと浸かってしまうはず。

 

犯人「蠅男」とは一体何者なのか、不思議な犯人像を追いながら解き明かされるストーリーを是非お楽しみください。

 

 

 

【SF小説】海野十三『太平洋魔城』

 

 

『蠅男』と同じ作者、海野十三によって描かれた作品で、こちらもSFをモチーフにした探偵小説となっています。

 

太平洋上で多発する、遭難事故。

海軍の1人である太刀川青年が、その後海で発見された缶を開けてみると、中には遭難者によって書かれた遭難報告が入っていたのです。

 

そこには、船が巨大な恐ろしい怪物「大海魔」に襲われたという信じ難い内容が書かれていました。

その後、太刀川青年は調査のためにアメリカへと向かいますが、そこで待ち受けていたのは…

 

戦前にも関わらず、太平洋やアメリカなど広い視野を持った海野十三だからこそ書くことのできたこの作品を、ハラハラドキドキ感と共に味わってください。

 

 

 

【SF小説】賀川豊彦『空中征服』

 

 

賀川豊彦はキリスト教信者であり、社会運動家でもありました。

また、ノーベル平和賞の候補者に選ばれたこともあります。

 

そんな彼が書いたこの小説は、大正末期の大気汚染についての反公害を書いています。

この小説の主人公は川の中の生き物と会話をすることができたり、物語中に空中都市ができたりなどSF感たっぷりの作品ですが、この小説の社会への訴えを見逃すことはできません。

 

公害問題の他にも、官僚主義的な社会の風潮を変える案を実現させたりと、当時の社会に対する批判が書かれています。

この本を読んで、賀川豊彦の思想に触れてみてはいかがでしょう。

 

 

 

【推理小説】江戸川乱歩『怪人二十面相』

 

 

推理小説でまずおすすめしたいのは、江戸川乱歩の『怪人二十面相』です。

20の異なる顔を持つと言われる大怪盗怪人二十面相によって、繰り広げられるサスペンス。

 

この作品は、前半と後半で異なった2つの事件が取り上げられ、物語が展開していきます。

ある日、二十面相が盗みの予告状を送りつけたことにより、東京中はその話題で持ち切りに。

 

二十面相と立ち向かうのは、名探偵明智小五郎とその助手小林少年。

腕前の優れたこの探偵が、苦戦しながらもなんとかたどり着いた二十面相との対決シーンは必見です。

 

乱歩によってその後描かれた、探偵小説『少年探偵シリーズ』にも怪人二十面相は登場します。

この作品を気に入っていただけた方は、是非このシリーズごと読むのがおすすめです。

 

 

 

【推理小説】芥川龍之介『藪の中』

 

 

この物語は、1つの事件をめぐって、4人の目撃者と3人の当事者がする証言をそれぞれ描いた物語になっています。

「藪の中」で起こった殺人と強姦の事件に対して、7人が告白する証言。

 

しかし、この告白を照らし合わせてみても、食い違いが起こり、矛盾が生じ、なかなかその真相を明かすことはできません。

そして、この真相は明かされぬまま物語は幕を閉じるのです。

 

この真相とは一体、どのようにしたら解き明かすことができるのでしょうか。

或いは、このまま真相は「藪の中」へと消えてしまうのでしょうか。

 

事件の「真実」が、それぞれの証言者が見た「真実」に変わった瞬間、本当の「真実」は姿を変えてしまうのでしょうか。

芥川によって作り出された、この事件と真相を、あなたはどのように見ますか?

 

 

 

【推理小説】夢野久作『ドグラ・マグラ』

 

 

現代では「夢Q」と称される、あの有名な探偵小説家夢野久作の代表作です。

また、日本の推理小説・異端文学における三大奇書ともされており、奇抜で幻惑的な怪奇色の強い作品になっています。

 

作品の冒頭、主人公の「私」は「ブウウ・ンンン」と言う時計の音で目を覚ますと、そこは精神病棟でした。

そして、彼は記憶を失っており、事件を解決するための実験材料として、様々な文献を読まされるのです。

 

なんと、この「私」は母や婚約者を殺した犯人「呉一郎」であると疑われています。

しかし、記憶を失っている彼は「私」が誰なのか、自分でもわかりません。

更に、自分が婚約者だと名乗る隣の病室の少女や、死んだと聞かされていた「正木教授」、自分にそっくりな「一郎」が現れたりと、その謎は深まるばかり。

 

「ドグラマグラを読むと、頭が狂う」とも言われているほど、その解析は難しく、読了するのが大変とされる小説ですが、探偵小説好きの方には是非一度挑戦してみていただきたい作品です。

 

 

 

【詩集】与謝野晶子『晶子詩篇全集』

 

 

『みだれ髪』で有名な、女流歌人与謝野晶子の歌集です。

この歌集は晶子の自選詩集で、421篇の著名な詩が収載されています。

歌人とは、短歌や和歌を詠む人のことですが、そんな晶子は『明星』や『青鞜』に様々な詩を発表していて、それらの作品には晶子の生きた時代が色濃く反映されています。

 

特に有名な晶子の詩『君死にたまふことなかれ』も、この詩集に収載されています。

この詩が発表されたのは、明治、日露戦争の最中で、戦争に駆り出された弟に寄せて書かれました。

 

「親は刃にぎらせて 人を殺せとをしえしや、 人を殺して死ねよとて 二十四までを育てしや」

これは詩の一部ですが、その直接的な表現からは、痛切な彼女の思いと嘆きが強く感じられます。

 

男尊女卑の思想が色濃く残っていた当時、自立した生き方を全うしようとした彼女の強い想いを、この詩集から読み取っていただければと思います。

 

 

 

【詩集】中原中也『山羊の歌』

 

 

こちらは、中原中也の第1詩集で、生前に刊行された唯一の詩集でもあります。

中也はわずか30歳の若さでこの世を去りましたが、生涯で残した詩の数は350篇以上にも上ります。

 

その中でも、有名な詩の1つ「汚れっちまった悲しみに……」も、この詩集には収録されています。

「汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる 汚れつちまつた悲しみに 今日も風さへ吹きすぎる」

このような調子で、4連に渡って8回、「汚れつちまつた悲しみ」が繰り返されます。

 

中也が見た「悲しみ」とは、一体何だったのでしょうか。

本当のところは、中也にしかわからないものがあるでしょう。

そんな作者の悲しみに寄り添ったり、または客観的に見てみたり、詩だからこそできる鑑賞を楽しんでいただきたいです。

 

また、リズミカルに描かれる詩の音も、是非感じてみてください。

 

 

 

【詩集】室生犀星『愛の詩集』

 

 

この詩集の作者である室生犀星は、私生児として生まれ、生まれて間もなく養子に出されて育ちます。

決して恵まれた生まれではなかった彼ですが、そのような幼少期の思いが、後の彼の文学に生きてくることになります。

 

そんな彼が自費出版した処女作の『愛の詩集』は、その名の通り優しさと愛のつまった詩集と言えるでしょう。

 

「こどもらは喜ばしい朝のうたをうたつてゐた その澄んだこゑは おれの静かな心にしみ込んで来た おお 何といふ美しい朝であらう 何といふ幸福を予感せられる朝であらう」(「朝の歌」より)

 

彼の優しさには、彼が困難を乗り越え、たくさんの悲しみを知っていたからこそ、抱くことのできたものがあるはずです。

 

 

 

 

以上、ジャンル別でおすすめの作品を紹介してきました。

青空文庫に収録されている作品数は、2019年時点で1万5千件以上にまで上ります。

 

様々な著名作を気軽に無料で読むことができるので、是非活用してみてください。

素敵な作品との出会いが、生活をより豊かにしてくれるはずです。


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